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ま心のコラム

あなたの笑顔は誰のため?

2012年12月10日

 るアメリカ婦人のお話です。
 その婦人はとある戦争で息子さんの戦死通報を受け取ったあと、20年後に行われた洋上慰霊祭に初めて参加しました。息子さんを乗せた船が沈む、島影一つない大海原を長い間見つめていた婦人はやがて「やはり駄目だったんですね」と一言つぶやきました。自らの目で見るまでの20年間、息子さんの死を受け入れることができなかったのです。
 戦争という名の暴力はこのように平穏だったはずの人生を無惨に引き裂き、心を消えない思いで満たします。

 十一世紀の今になっても、国と国、人と人との領土や支配、利権をめぐる争いが絶えることはありません。同じ地球上に住んでいるのに、多くの人々が平和を得られない暮らしを送っています。そうした人々にとって、平和はどんな対価を払ってでも手に入れたい究極の宝石のようなものに違いありません。
 日本に暮らす私たちのほとんどは、その宝石にも等しい平和を当たり前の日常として受け取っています。しかし表面は平和に見える社会の内部では一体何が起こっているのでしょうか?

 聞やテレビの報道を見れば、命を粗末にする事件が起こらない日はほぼないほどです。アメリカの婦人が20年間願い続けても再びめぐり会うことがなかった尊い命を、いとも簡単に他人から奪ったり、自ら絶ってしまったりしています。政治を見ても、耳に心地よい言葉がたくさん聞こえてはくるものの、生活不安をかき立てられざるを得ない多くの問題が未解決のまま残されています。政治家がまっ先に議論すべきなのは、利権や議席のことなのでしょうか?
 私たちは何よりも、人を笑顔にし、自分も笑顔になるように行動するべきではないでしょうか。

 は、まわりの人と心をつなぐために笑顔を作ります。
 例えば、ゴルフで会心の一打を打った人は、ボールが着地したときではなく、その行方を見定めてまわりの人を振り返ったとき笑顔になります。そしてまわりからの温かい賞賛を受けてもう一度笑顔で応えるのです。
 喜びを分かち合うこと————それが笑顔の役目です。人と人との笑顔のやりとり—————それはどんな逆境にも負けない力を与えてくれる、真の幸福ではないでしょうか。

 争は、人と喜びを分かち合う行為でしょうか。お金やモノのみを追い求めることは周囲の人を温かい気持ちにするでしょうか。命を粗末に扱って、一体誰が幸福でしょうか。
 しかし、悲劇より喜劇の方が演じるのが難しいのと同じで、他人を笑顔にするのは並大抵のことではありません。時には自分の持てる力の全てを傾けなければならないこともあるでしょう。

 かし人のために行動する人に幸福は必ず訪れます。今日来なければ明日来ます。明日来なければあさって来ます。すぐにはやって来なくても、この世界のどこかに、その幸福を約束してくれている何かが確かにあるのです。
 他人のために一生懸命になることができたとき、人は今まで見過ごしていた大きな力が、自分を後押ししてくれているのに気付くことができます。その力に気付いたとき、私たちは本当の幸福への道を歩き出すことができるのです。

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