必ず道はある
2017年06月05日
「行く川のながれは絶えずして、しかも元の水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」
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鴨長明が鎌倉時代に書いた『方丈記』には、1185(元暦2)年、京都を中心に大きな被害を出した文治地震の様子をつづった文章があります。
「すなわちは、人みなあじきなき事を述べて、いささか心の濁りも薄らぐと見えしかど、月日重なり、歳経にし後は、言の葉にかけていい出ずる人だになし」
(しばらくの間は、人は皆やるせなさを語り合って、多少は煩悩も薄らぐように見えたが、年月が経った後は、言葉にして言い出す人さえいない)
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東日本大震災から6年が、熊本地震から1年が経ちました。『方丈記』の昔と同じく震災のことはニュースに出ることも人の口の端に上ることも当時より減ってしまいましたが、東北の方も、熊本の方もいまだに震災の被害と戦う日々を送っています。口には出さなくとも、心の片隅で被災地の方々のことを思っていたいものです。一人一人の小さな心掛けが、被災地の方への思いがけない大きな贈り物となるのです。
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物事には必ず表裏の両面があります。震災の被害は目を覆うばかりのものですが、それでも希望となる出来事もあるのです。
被災地で進められている「創造的復興」とは、単に街を元の通りに復興させるだけではなく、震災前より熟成した暮らしやすい街を作り上げようとする考え方です。
関東大震災のおかげで東京が近代的な街に生まれ変わったように、バリアフリーで誰にでも優しい、災害対策が進んだ、最先端の機能を持つ街が被災地に現れるのもそう遠い将来のことではないかもしれません。
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良くない出来事が起こっても、それはのちに必ず良いことに変わるのです。人が前に向かって進んでいかなければならないのは、そうすることによって難事が良い事に変わるためなのです。
人生にはこれ、と決めて進んだ道が行き止まりになっていることもあります。けれどどんな困難に出会っても、じっと目を凝らせば行き止まりに見えたその道の向こうに必ず一筋の道が続いています。その道がもし見つからなくても、必ず一つ進む方向があります。それは後戻りをするという道です。後戻りをするという道が、時にはゴールへと前進していく一番の近道となるのです。
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困難に出会ったら、その時こそ幸せへと向かう一筋の道を見つけ出すチャンスなのです。暗闇の中で見つけ出した一筋の光は、生涯に渡っていつまでも行く手を照らしてくれる頼もしい光となるでしょう。
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