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ま心のコラム

誰のパン?

2013年01月04日

クライナの民話に「誰のパン?」という話があります。
にわとりが仲間の動物たちに「小麦の種を蒔くのを手伝ってくれない?」と頼みますが、みんな「いやだ」と手伝おうとしません。
小麦が芽を出し、にわとりは仲間に「畑の草取りを手伝ってくれない?」と頼みますが、やはり「面倒くさい」と誰一人手伝おうとしません。
小麦が実り、刈り取りの時期になっても仲間たちは「今忙しい」と言い、とれた小麦を粉に挽くときも「あとで」と言って結局誰も手伝いませんでした。
しかしパンがおいしそうに焼けたとき「食べる人?」とにわとりが聞くと、動物たちは声をそろえて「食べる」と言いました。

 京オリンピックが開催されたのは昭和39(1964)年のことでした。当時の日本は高度経済成長の真っただ中にありました。テレビと電気洗濯機と冷蔵庫が家庭に現れ「もはや戦後ではない」と未来への希望に世の中が生き生きと輝いて見えた時代でした。

 、再び東京オリンピック招致の動きが高まっています。2016年はブラジル・リオデジャネイロでの開催に決まりましたが、引き続き2020年の開催に向けて活発な活動が行われています。
49年前と違ってデフレと不況の世の中です。東京オリンピック招致には、日本中が一丸となった、高度経済成長期のあの明るい元気をもう一度取り戻したいという願いが込められているようにも思えます。

 況とはいえ日本はいまだに世界有数の経済大国です。東京オリンピックを実現した世代の先達が、がむしゃらに働いて今のこの恵まれた日本を作り上げました。しかし、今そこにはいじめやひきこもり、大企業の放埓(ほうらつ)、民意と政策のかい離など、貧しかった時代には想像もできなかったような索漠とした風景が垣間見えてはいないでしょうか。
生活がこんなに豊かになったのに、まだまだとめどなく経済的発展のみを追求する人は多く、幸福――豊かな心の在り方を追い求めようとする人はあまりいません。

 命に周囲のために働くにわとりと、できたパンを食べるだけのほかの動物たちとでは、どちらが心が豊かでしょうか?
みんなで力を合わせて小麦の種を蒔き、草を取り、刈り取りをして粉に挽き、できたパンを分け合って食べる。心と心をつなげるからこそ、何の飾りもないそのパンは世界で一番おいしいのです。